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時間と空間

役者をやっていて思うことがある。
なんて気高い世界なんだと。

僕は今一人の男を作り上げようとしている。
会った事も見かけたこともない男の心の傷を作りだそうとしている。

その彼への想いや理解など役者には必要ない。
なぜなら自分自身を改めて理解してる奴なんていないからだ。

これは恋愛とも違う。見た事も会った事もない男と完全に一人になろうとしている。
これはなんだろう。
理解では届かないそのままという感覚を手に入れようと今は必死になっている。
そこに意味はあるのかと問われたら、迷わず意味が何だと答えるだろう。
意味あることが何だ。僕はそこに居たいだけなのだ。

友達の家に行くと、あからさまなそいつの生き様に押しつぶされそうになるときがある。
全てのもの、置いてあるもの、ひいてあるもの全てに、彼にまつわる物語があり、意味があり、それを僕は知らないという事に、つぶれそうになることがある。
空間とはそこに居るそのものが支配するのだ。
舞台は役者が出ることによって、その空間が決まり、移ろい行く。

今回のお芝居は空間と時間がとても大事だと思っている。
そこが全てだ。そこに存在している役者が、どれだけその空間を支配できるか。

目に見えないものに物語を載せて、とにかく僕はそこに居る事にする。
彼の傷を飲み込み、彼のにおいをまとって僕はそこに居る事にする。

演出家の会いたがってる彼を連れて、そこに居る事にする。

by biritake | 2007-02-24 01:33  

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