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ユナイテッド93

遅ればせながら観てきました。
前々から気になっていたので、調べてみたらもう少しで終わっちゃうというので駆けつけてみた。

一言で言うと、すごい映画だった。
今まで味わった事のない感覚になった。

場面はほとんど4箇所ぐらいの管制室と、ユナイテッド93だけなんだけど、段々おかしくなる飛行機の状況にパニックを必死に抑えながら呼びかけを続ける管制官達の油汗が、画面からも飛び出してくるような凄みのある映画だった。

突然レーダーから姿を消したアメリカン航空11便。ワールドトレードセンターから出ている黒煙とは簡単に結びつかない。そこへ南タワーへ突っ込んでくるユナイテッド航空175便の映像を見たとき、悲鳴ともつかない声が管制室にあがる。その瞬間、僕は射抜かれたように涙が出てきた。
アメリカ上空にはそのとき4200機の旅客機が飛んでいる。ほとんど埋め尽くされている。その飛行機を全部着陸させ、アメリカ上空を全部封鎖すると言うあの時の事件は、もう戦争だったのだ。

ユナイテッド93の中は怒りで満ち溢れている。全ての怒りだ。ハイジャック犯たちはコーランを口ずさみ続け。乗客はキリストに祈りをささげる。1つの飛行機の中で、同じ神を思う2つの存在が怒りで向かい合う。
命がけで望みをかなえようとする犯人達と、命をかけて生きる望みを探そうとした乗客たち。

お互いが手をくみ犯人に襲い掛かる。激しいまでの乗客の怒りに抑えきれなくなる犯人達
全ての力をこめて操縦室を取り戻した乗客たち。
しかし時既に遅く、失速するユナイテッド93。その操縦室には操縦桿を必死に握りながら、「上がれー!」と言う声がこだまして、全てが終わる。

一人一人が生きてきた全てが、その瞬間に跡形もなく消える。

だから映画がある。役者がいるんだと思った。その人たちの想いを、その状況を。電話の交信記録や家族の人に話した内容を頼りに、役者や、映画はその思いを語り継ぐ。
彼らの勇気ある生き様は、これから同じ状況に出会うかもしれない私達に勇気を与えてくれる。

激しい絶望の中にこそ、輝ける希望があるのかもしれないと。

by biritake | 2006-10-10 23:42  

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