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ここまできた

先日行われた「池袋モンパルナス」の劇場台本が製本されました。
生まれてはじめての製本です。
めちゃくちゃ嬉しい。
名前は出せませんが、製本に携わってくれた、長田さんの知り合いの方、この場を借りまして厚く御礼申し上げます。
日曜日に仕上がったので、金曜日と土曜日にご来場の方にはお見せできなかったのですが、
ネットでも販売する予定ですので、興味のある方はぜひ。

私は生まれる前からのものぐさ男なので、普段役者たちに渡す台本は、A4の紙に縦書きで書きなぐったものなので、綺麗に製本された台本を見ると自分の作品じゃない気がします。
一部の役者はこのA4の台本を半分に折り、綺麗に張り合わせ、1冊の本にしています。
表紙にチラシの切り抜きなんかはって、とても綺麗に出来ているので、何度もちょうだいと言っているのですが中々くれませんでした。
私は台本を綴じることすらしません。公演中のだめだしは、ばらばらの台本のうらに書きなぐっていました。
こういうのは性格なのか、環境なのか。

確かに小さい頃からおもちゃは自然に片付くものだと思っていました。
例え散らかっていても、私の中では何処に何があるのか整理できているので、理論的には片付いていることになるわけです。たまに自然に片付かず、怒鳴られます。そうするとそそくさと片付けるのですが、そうすると何が何処に行ったのかさっぱりわからなくなってしまうのです。
だから片付けたくないんだ!と主張しても、もちろん聞き入れてはもらえません。
これは何だと考えました。
最近は大人になったせいもあるのですが、少しはカターシー(片付ける人)になってはきているのですが、片付けながらわかったんです。
ああ、これは思い出なんだと。

ひとしきりおもちゃで遊んだ後、まあ遊んでいる時、次への興味が移って今まで遊んだおもちゃをほったらかします。そのうちそれも飽きて次へいきを繰り返していると段々散らかります。
ふと気づくとそこには、さっきまで遊んでいたおもちゃが、お別れしたままの姿で転がっているんです、その姿を見て、「ああ、そういえばさっきまでこのぬいぐるみと激しくプロレスごっこしてたなー、楽しかったなー」とか「いいホームランだったな、野球盤の外まで飛んでいったもんナー」とか、様々な思い出がそのままの形で残っているんです。
そうです、お別れできないんです。
片付けってサヨナラじゃないですか。今まで生きてたあのぬいぐるみが、ただのぬいぐるみになってしまうんです。バックドロップを決めた後のぬいぐるみが、復讐に燃えるようにその場で次のチャンスを待っているんです。それを、その思いを、ぬいぐるみだからとむげに片付けてしまっていいんでしょうか、どうですかお母さん!あいつは、あいつはぬいぐるみじゃないんですよおかあさん、生きてるんです!片付けるなんて、カタをつけるなんて・・・僕には出来ません。

聞き入れてもらえず、所定の場所にぬいぐるみを戻した時に、彼はいいました
「気にすんな。」

芝居も終わり全ての荷物を片付けている時にふと思いついたことでした。

by biritake | 2005-05-03 22:55  

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